教育実習は申し込んですぐに「ハイどうぞ。」と行けるものではありません。実習校に内諾を得ること、スクーリングによる事前指導を受けること、既定の単位を満たしてから大学に申し込むことなどルールに従って進めていくことが必要です。そのため、入学直後に実習関係の資料をしっかり読み、見通しをもった計画を立てることが大切です。
教育実習のねらい
実習のねらい少し堅い言葉で表現すると次のようなものになります。
- 小学校の役割や組織、および教員の職務について理解すること。
- 教員としての使命感、責任感を養うこと。
- 児童の理解。児童の指導に関する実践力を形成すること。
- 実践体験を、大学で学んだ理論と結び付けて使えるようにすること。
- 教師を目指すための自らの課題を明らかにすること。
教育実習は、単に先生の仕事の見習いや練習ではありません。受け入れる立場になって思うことは、日々の教育活動の中に入って、子どもに関わる以上は常に「本番」という心構えでいてほしいということです。もちろん、うまくいかないことも多いと思います。それはそれで良いと思うのですが、子どもたちとの関りや、現場の教職員と一緒になって働いてみることで大学で学んできたことを現場で生かせる知識や技能につなげていってほしいなと思います。
仕事をしながらの教育実習は最大の難所
通信大学で学ぶ人の中には、仕事をしながら「小学校」の教育実習に行くという人もたくさんいます。それぞれ、なんとかやりくりをして参加して、自分の夢をかなえようとしています。今の仕事も大切ですが、夢をあきらめないためにもなんとか頑張ってみてください。
私の場合、採用前(2年前から勤務していて、今年の契約更改の際に確認)に「教育実習」に行くことを説明してあったので、7日間の年休(有給)と3日間の欠勤(その分の給料はカット)で教育実習に臨むことができました。他にも、年休や振替休日をうまく組み合わせて実習に行っている人もいます。このように考えると、職場の理解がなければ2週間から1ヶ月の教育実習に行くことは難しいと思います。仕事をしながら教育実習にいけるかどうかは、職場で休みを取ることが許されているかどうかにかかっているといえます。日ごろから職場の中でよい人間関係を築いていくことと、早い段階から上司に相談していくことが必要だと思います。
教育実習までの「準備」
教育実習はその前後の手続きを含め、不安なことがたくさんありますよね。小学校や中学校と自分から連絡を取り合うなんて気が重くなります。
1、「実習を含めた学習計画」で見通しをもつことが何より大切
教育実習の受講資格というものがあり、先ずは下記の単位数を集める必要があります。
※下記の条件をそろえてから実習を大学に申込みます(遅くても実習の20日前まで)
実習時期 | 教科・教職に関する単位 | レポート・事前指導 |
4~12月 | 明星大学で22単位以上 | 実習レポート(受講手続きの1ヶ月前まで)を提出または合格&実習の事前指導スクーリング 1 |
1~ 2月 | 明星大学で34単位以上 |
※基礎資格は単位に含めない。
教育実習の事前指導はスクーリング必修
教育実習の事前指導はスクーリングで受ける必要があります。開催時期や場所が限られていますので、これも余裕をもって履修する計画を立てましょう。
② 教育実習先を決める(内諾を得る)
実習校へのお願いは「単位が揃ってから」と思っていてはいけません。年間行事予定や教育実習の担当教諭の割り振りなどありますので、できれば4月になる前に連絡をとれると良いと思います。それが難しい場合でも、早ければ早い方が先方の負担は減ります。が、万一タイミングを逃してしまったときは仕方がないので相談しましょう。世の中、正直に事情を話して相談すれば何とかなることも多いです。
実習先は「自分が行動しないと」決まりません。
当サイトを見ている方約30人に聞いたところ教育実習について決めた時期については、次のような結果になりました。
3月までに決めた。 (58%, 18 人)
4月になってから決めた。 (42%, 13 人)
なお参考までに、中心に学びたい教科くらいは聞かれたら答えられるようにしておくといいと思います。小学校なので全科目専門と言いたいところですが、どの教科を中心にやりたいのかということも担当する側としては気になるところです。
☆実習校を選ぶ際の注意
1、職種に関わらず、現在勤務している学校での実習は認められない
2、家族・親族が勤務している学校での実習も認められない。
3、全学年で5学級以下の小学校や2学級以下の幼稚園も、通常の教育活動に影響が大きいので認められない。
4、学習計画を立て、いつの時期からなら実習が始められるのかをよく考えておく。その際、通信大学の仕組みや、実習までに揃える条件と履修計画も説明すると良い。
5、実習のお願いはできるだけ学校が年間計画を立てる前年度中に行う。ただし、担当学年等は次年度にならないと決まらない場合が多い。
実習の実施方法などは、実習が近くなったら大学から実習校に送られます。
独自の受け入れ態勢を取っている自治体
※ 学内実習という仕組みもあり、明星小学校・明星幼稚園での実習です。希望者が多い場合は面接で選抜されますが、東京在住の卒業希望生を優先しているそうです。
③ 実習1ヶ月前までに間に合うように単位を取得し事前指導を受ける
実習の手引きに見る実習資格が揃う時期と実習開始時期の目安です。これを目標に単位を取得することになりますが、実習先と時期を決めるほうが先なのでこれを目標にして頑張ります。
受講資格が揃う時期 | 実習開始時期【目安】 |
---|---|
4月科目終了試験 | 5月25日以降 |
5月科目終了試験 | 6月25日以降 |
6月科目終了試験 | 2学期以降 |
8月科目終了試験 | 9月25日以降 |
夏期スクーリング | 11月10日以降 |
10月科目終了試験 | 11月25日以降 |
秋期スクーリング | 1月以降 |
11月科目終了試験 | 1月以降 |
12月科目終了試験 | 2月1日以降 |
冬期スクーリング | 2月中旬以降 |
2月科目終了試験 | 次年度以降 |
春期スクーリング | 次年度以降 |
☆レポートがなかなか返却されないけど
単位の履修計画とスクーリングは相当重要になることがお分かりいただけると思います。ちなみに、単位をそろえることは、明星大学の場合下記の状態のことをいいます。
つまり、レポートを出して1ヶ月以上経っていれば仮合格とみなされていることになりますので、スクーリングや科目終了試験に合格すれば単位をGetしたと思ってよいということになります。
実習に行ける確約がないのに話は進めないと…
試験は毎回確実に全科目合格できるという保証がありません。実習校に依頼をしたものの、単位が揃わなくて直前に実習にいけないということになるとご迷惑をおかけしてしまいます。でも、準備は進めないといけないのでとてもプレッシャーに感じるかもしれません。万が一教育実習に行けないなら2か月前には連絡が欲しいです。(準備を始めてからのキャンセルは迷惑)
私は4月の科目終了試験は受験できませんでしたが、5月に3科目受験して2科目6単位取得。6月に4科目受験して4科目10単位取得。8月に4科目受験して2科目4単位取得。これで20単位となり、なんとか目標の18単位をクリアできました。
その後、スクーリングと科目終了試験でほぼ単位を取り終えました。11月中旬の教育実習を目標としたことは、大変でしたが良かったと思います。4月の試験を受験した方や、夏のスクーリングでたくさん受講できる方は、もう少しゆとりのあるプランにできるかもしれませんが、私はその保障がなかったので早め早めに攻め込みました。1年間で教員免許取得を目指す方は、2月の科目終了試験で単位がそろったのでは遅いので、早め早めに準備していきましょう。
教育実習「申込み」前に履修しておく科目
モデルプラン「11月10日頃から教育実習にいくとすると・・・」
4・5・6・8の科目終了試験+夏期スクーリングで単位を揃えるから・・・。
レポート | 試験・スクーリングなど | |
---|---|---|
2月 | 4月受験分レポート | |
3月 | 5月受験分レポート | |
4月 | 6月受験分レポート | 科目終了試験 |
5月 | 科目終了試験 | |
6月 | 8月受験分レポート | 科目終了試験 |
7月 | スクーリングレポート | |
8月 | 10月受験分レポート ・実習事前レポート | 科目終了試験・スクーリング・実習事前指導 |
9月 | 11月受験分レポート | |
10月 | 12月受験分レポート ・教育実習申込み | 科目終了試験・スクーリング・教育実習 |
11月 | ・実習事後レポート | 科目終了試験 |
12月 | 2月受験分レポート | 科目終了試験 教育実践演習スクーリング |
1月 | 今年度中に教員免許が欲しい場合は、1/9必着でスクーリングのレポートも提出。 | |
2月 | 科目終了試験 |
10月中旬から実習にいくためには、6月までにある程度のレポートを提出できればよいということがわかります。スクーリングの単位でも間に合いますが、少しでもゆとりを持たせるために、8月の試験までに目標の単位をそろえたいものです。なぜなら、実習の後にしか受けられない教育実践演習(スクーリング必修)という科目があり、冬のスクーリングに間に合わせたいからです。しかも、なかなかレポートも手厳しいようで…。
④ 教育実習の申込み(明星大学へ)
大学へ提出する書類をそろえて郵送します。驚くことに、私の頃にはなかった「ガイドブック」が配付されているようですので、チェックしながら不備なく行ってください。書類は実習3か月前~1か月前必着の間に出します。
提出書類
(1)初等教育実習内諾書→実習校に書いてもらいます
いつのものでも良いと思いますが、前年度中にもらうと人事異動等で管理職や実習担当教諭が変更になるかもしれませんので、書類自体は実習数ヶ月前~実習申込み書類提出前に書いてもらうと良いと思います。
(2)健康診断書→医療機関に書いてもらいます
実習開始日より3ヶ月以内のものです。あまり早く診断をうけてはいけません。医療機関の印鑑を押してもらいますが、ない場合は医師の印鑑でも良いようです。
(3)初等教育実習許可願→自分で書きます
まさに「申込書」という感じのものです。必要事項を記入します。
(4)誓約書→自分で書きます
・大学宛
・実習校宛
(5)教育実習学生調査書→自分で書きます
「履歴書」のようなものです。
なお、教育委員会や勤務先に提出する書類が必要な場合は、合わせて大学に提出します。詳しくは実習の手引きに書いてあります。いずれにしても、自分だけでは書けない「内諾書」「健康診断書」はゆとりをもって準備することが大切です。
教育実習諸経費
実習を申し込むと、小学校実習で35,000円(ちょっと古い人は45,000円)の専用振込用紙が届きます。実習開始日までに入金します。給食費やその他学校でかかるお金は含まれていませんので、実習校での指示に従います。
実習校による教育実習の事前指導(実習校によって実施)
私は、実習前に実習校に行き、以下のことを確認しました。
実習校への提出書類としては、明星大学書式の「教育実習成績評価表」「教育実習出席簿」を渡しました。これで事前の準備は終了です。ちなみに、私がこの期間に授業をする範囲は、算数(図形)、理科(てこ)、社会(情報・放送)です。
実習校での事前指導では、期間中に何を作成しなければならないのかを、初等教育実習ガイドブックの、「実習校との最終打ち合わせ」~「教育実習後の手続」をよく読んで説明・お願いすると安心です。
教育実習に行こう
いよいよ実習です。実習そのものは各学校とも受け入れに慣れていますので順調に進んでいくと思います。ただ、大学の指定する提出物は地元の大学とは結構異なる場合がありますので、こういうものが必要ですと自分から説明できるようにしておきましょう。
主な作成物
実習校の指示に従って実施します。この期間中に「実習日誌」「学級経営全日案1通」「学習指導案3通」を作成します。参考までに、教育実習に役立つ?各種フォーマットをアップします。すべてWORDで作成していますので、クリック&ダウンロードしてからご利用下さい。(内容が変わる場合がありますので、ガイドブックを確認してください。)
実習日誌
実習日誌は手書きですが、いきなり清書というわけには行きません。私はパソコンで推敲してから清書しました。誤字脱字の予防にもなりますし、時間の短縮にもなりました。
学級経営全日案
明星大学の「教育実習」の冊子に書式例があります。私はその書式をWordで作成してまとめました。実際に教員になったらメモや手帳で済ますと思うので、このような全日の経営案を書くということは滅多にないと思います。でも似たようなことは考えて過ごすので、書いてみて損はありません。
こんな感じになりました(PDF)
指導案書式1
明星大学の「教育実習」の冊子に書式例。
指導案書式2
今回提出した指導案の書式。書式は実習校の指導に従うということで、児童の実態等を削除したものを提出しました。
実習略案
日々の学習指導のために準備した指導略案です。
実習が終わるとすぐに普段の生活が戻ってきます。提出書類(学習指導案や学級経営全日案、実習日誌、事後レポート)は、実習期間中の時間を有効に使って完成させることが大切です。実習事後レポートも課題が最初から決まっていますので、実習中に少しずつ構想を練っておくとよいでしょう。課題は、「教育実習で習得したもののうち、特に関心の高いものを3つ書け」です。 実習直後ならすぐに書ける課題ですので、頑張ってみてください。
実習中に大学提出書類はほぼ完成させる
実習校や大学等の外部との打ち合わせが多く、期限までに様々な提出物がある教育実習は通信教育を進める上でのひとつの山場でもあります。受け入れる側の職員や子どもにとっては、地元の大学生であろうが、通信教育生であろうが関係なく同じように受け入れてくれるはずです。しっかり準備して、将来につながる有意義な実習にしていきましょう。また、教育実習をする際、大学の課題に答えるだけではなく自分なりの問題意識を持って臨むとより効果的だと思います。特に、教育実習での経験は採用試験にも大いに役立ちます。 教員採用試験の面接で、「実習中に工夫したこと」「実習で学んだこと」「実習で苦労したこと」「実習で努力したこと」などの質問が想定されます。 「授業で工夫したことは何か」「生徒指導で大切にしていることは何か」などいろいろと考えることもできます。これらの課題を念頭に置きながら実習を行い、場合によっては校長先生などにアドバイスも もらってしまうとよりよい実習となるのではないでしょうか。
教育実習を終えて
教育実習後の提出書類
実習後は早め(2週間以内を目安、3週間以内必着)に書類を提出します。提出するものは、「実習日誌(事後レポートも書いて)」「学級経営全日案」「異なる教科の学習指導案3通」です。実習校からは、「教育実習成績評価表」「教育実習出席簿」を提出してもらいます。当時の私は、事後レポートにこんなことを書きました。
今見るとちょっと恥ずかしいですが、一応参考までに載せますね。赤字は10年後の今、「よく気づいたね!」と上から目線でつけたところです。
教育実習評価通知を急ぐ場合
教育実習終了後の「教育実習評価通知」については、事後提出物がすべて揃ってから通常3週間程度かかります。例年、事後提出物の提出が集中する1~3月の間は評価通知が来るまでに3週間を超える場合が多いようです。早めに学習を進める理由はここにもあります。もし、4月からの教員採用が決定しているため、教員免許状申請が早急に必要であるなど事情がある場合は、事後提出物とあわせて下記の書類を事務局教育実習担当まで提出します。とにかく、早く教員免許状の申請が必要な場合は、教育実習終了後、早めに事後提出物を提出し、教育実習校へも大学への提出物を早急にご提出いただけるよう伝えてください。
小学校教員免許取得を目指す中で、教育実習は最大のイベントといえます。教育大学生のときに実施した実習と今回の実習では状況が全く違うので、実習への取り組み方や視点も以前とは違うものとなりました。みなさん、頑張ってください!
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スクーリングを上手に利用して、単位を一気に揃えましょう。ある程度の出費は覚悟しますが、夢の実現に向けて大きなカギを握るイベントです。