通信教育の基本はすべて自分でやることです。「あれをやりましょう。」「これがまだですよ。」など、親切に声をかけてくれる人はいません。自分で調べて、期日までに間に合うように進めていくことが大切です。
ここでは私の体験談から、通信教育での教員免許を取得を確実に進めるために事前に確認しておくべきポイントをまとめておきます。
通信教育を成功させる「学習計画」
教材が届いたらすぐに中を確認しよう!
入学手続きから約2週間、レポート用のバーコードと、① 基礎単位の認定連絡がとどきました。体育や憲法、情報リテラシー、介護体験等は既に習得しているから不要だというものでした 。さらに一週間ほど経った後にテキストや②今後取得しなければならない単位一覧が同封された小包も届きました。
何でも後回しにする性格なので、この時もすぐには開封せずに部屋の隅に放置していました。しかし、期限付き教員の仕事が舞い込んできたことで「教育実習」のことをはっきりさせなければならなくなり、中をチェックすることになりました。今思えば、期限付き教員の話が出たおかげで教育実習先も決まり、単位の取得計画も早い段階でたてることができとても助かりました。それがなければしばらく箱を放置していて大きく出遅れたことと思います。今考えるとなまら怖いです。
チェックすべき6つのポイント!
届いた教材の中には学習の手引き(名称は異なる可能性があります。)がありますので、今後取得しなければならない単位一覧と見比べながら次のことを確認します。チェックすべきものは以下の6点です。
これらを年間カレンダーのようなものに書き込んでいきながら学習の見通しをもちます。ただ、科目終了試験やスクーリングの日程は決まっているので、どんなに急いでも取得できる単位には限界があります。順番にやっていけばそんなに難しい作業ではありませんが、非常に重要なことなので以下で詳しく説明していきます。
① 教員免許取得までに必要な単位を確認
これは手引きを見ながら確認すると分かりやすいと思います。教員免許に必要な単位は大学ごとに決められているものではなく、教員免許法に定められている単位です。各自で単位をそろえて各都道府県の教育委員会に提出すればOKです。大学によって科目名が 違いますのでそこが少し分かりにくくなる原因となっています。(例:教育大「教育原論」→明星大「教育原理」など)
すでに教員免許を持っている等で単位を振替えたい場合は、入学時に大学に提出する「単位取得証明書」などで大学 の指導を受けることになります。 基礎資格と必要な単位を満たせば、いつでも教員免許状を申請することができます。
明星大学では、教員免許法に合わせて下記の講義が開設されていますので、これらの単位で条件を満たして各都道府県の教育委員会に申請します。
免許法基礎資格 | ◎日本国憲法 ◎体育 ◎情報学概論 ◎外国語コミュニケーション |
教科専門科目 | ◎音楽科教育Ⅰ ◎図画工作科教育Ⅰ ◎体育科教育Ⅰ ○国語科教育 ○算数科教育 ○理科教育 ○社会科教育 ○家庭科教育 ○生活科教育 |
教職専門科目 | ◎教育方法学Ⅰ ◎教育課程論 ◎児童心理学 ◎初等教育原理Ⅰ・Ⅱ ◎道徳教育の研究 ◎教育相談研究 ◎特別活動研究 ◎教師論 ◎生徒指導論 ◎教育実践演習 |
初等教科教育法 | ◎初等音楽科教育法Ⅰ ◎初等図画工作科教育法 ◎初等体育科教育法 ☆初等国語科教育法 ☆初等算数科教育法 ☆初等理科教育法 ☆初等社会科教育法 ☆初等家庭科教育法 ☆初等生活科教育法 |
実習 | ◎初等教育実習 ◎介護等体験 |
・2種免許取得に必要な単位・・・◎と☆3つ
・1種免許取得に必要な単位・・・2種免許+○+☆の残り
初等教育実習は5単位(実習4週間で4単位+事前・事後レポートで1単位)必要ですが、すでに中学校・高校等で2週間の教育実習をしている場合は、 各都道府県の教育委員会によっては、実習期間が2週間でよい場合もあります。これについては各自で免許状を申請する教育委員会に問い合わせをすることになります。
※要望が多数寄せられたため、平成29年現在のものに更新しています。
② 追加履修の有無を確認しよう
基礎資格となるものとして、学歴と「教育職員免許法施行規則第66条の6」に定める科目から確認してきます。ここでは基礎資格と表現します。最終学歴は説明はいらないと思いますので単位について確認します。免許法施行規則では、日本国憲法、体育、外国語コミュニケーションおよび情報機器の操作各2単位の計8単位必要となっています。明星大学では、「法学」「健康・スポーツ科学論」「外国語A・B」「情報リテラシーa・b」という名称で開設されています。なお、免許取得を目指す正科・課程履修生の場合、履修するために1単位につき6,500円の学費が追加でかかります。
基礎資格 | 教科に関するもの | 教職に関するもの | 教科または教職に関するもの | |
2種 | ★準学士(短大卒以上)の称号を有すること ★大学に2年以上在学し62単位以上を修得すること +日本国憲法、体育、外国語コミュニケーションおよび情報機器の操作各2単位の計8単位 | 4 | 31 | 2 |
1種 | ★学士の学位(大卒以上) | 8 | 41 | 10 |
教員免許状の申請に使える単位は、文部科学大臣が適当と認める大学の課程《認定課程》や、これに相当すると認められる課程で修得したものでなければなりません。つまり、 日本国憲法や体育などの単位も、いろいろな大学で履修していると思いますが、その大学に教員免許状が取得できる課程が無いと、同じ「日本国憲法」という科目名でも流用できないという事になります。
さらに、教員免許状が 取得できる大学であっても、その単位を「文部科学大臣」に申請していないという理由で、再度履修しなければならないということもあります。私の場合、英語(外国語コミュニケーション)もコンピュータリテラシー演習(情報機器の操作)も大学で履修し、さらにコンピュータリテラシーについては、大学院生の時に授業の一部を担当するような事までしていました。しかし、私は平成10年度入学に大学に入学しているので、取得した単位は当時の免許法に従っています。 当時はまだ英語や情報機器の操作に関する科目が基礎資格として必要がなかったので、私が取得したこれらの科目は教員免許取得のための単位としては使えないという ことになってしまいました。
あまり納得がいきませんが、平成11年度に入学した学生は同じ授業を受けていたとしても、免許法が変わってからの入学なのでOKということになります。通信大学入学時によく確認をして、履修漏れがないように注意しましょう。
③ 選択科目を確認しよう(決めよう)
かつて、このサイトの掲示板にこんな書き込みがありました。書類を出してから配本になるまで時間がかかるようなので、早めのほうがいいのかもしれません。
ひとつわからないことがあるので質問させてください。6科目中、3科目選ぶという選択教科があるかと思うのですが、あの手続きはどのような方法で行うのでしょうか?手引き等を読んでもどうしてもわからなくて・・・こんな質問ですみません・・・教えていただけるとうれしいです。
当時は、部報めいせいの巻末にある申込みの用紙からやりたい科目に○をつけて送りましたが、今はどうでしょう。いずれにせよ忘れずに申し込んで学習を進めましょう。うわさでは、初等国語と初等社会が科目終了試験が通りにくいと言われます。なぜかしら、他の通信制大学でも、同じ傾向があるようです。生活と家庭科はよい選択だと思います。
なお、私の選択科目は、社会・理科・家庭科を選びました。まあ、難易度の感じ方は人それぞれですが、どの科目も頑張ればなんとかなるのかなと・・・。
④ 実習・演習・介護等体験等の条件を確認
通信教育課程の場合、教育実習は自分で考えて行動しないと話が進んでいきません。具体的には、教育実習を希望する小学校・幼稚園や市町村教育委員会の実習担当係に連絡し、教育実習を希望している旨を相談します。自治体によっていろいろなルールが決まっていますので、まずはどうしたら良いのか早急に確認しましょう。介護等体験は、大学経由の申し込みで実施は次年度です。絶対に時間がかかりますので、まだ先のことだと思わず、まずはアクションを起こすことが大事です。詳しくは下記のページでまとめています。
⑤ スクーリングや試験日程の確認とレポート作成計画
実習について調べることで、いつまでに何単位そろえる必要があるのかが見えてきたと思います。次は具体的な計画です。1年ないし2年間で毎月少しずつ計画的に履修できれば理想ですが、実習の条件や教員免許申請のために前倒しして単位を集める必要があるので意外と余裕はありません。特に、科目終了試験を何月から受験できるかどうかが今後の学習においても非常に重要です。
どうやって単位をとるか考える
通信大学で単位を取得する方法は、レポートを書いて科目終了試験を受けるRTタイプか、スクーリングに参加してレポートを書くSRタイプかのどちらかが基本です。スクーリングに参加するだけで取得できる単位もいくつかはありますが、基本的な考え方としては「レポート」+「試験」か「スクーリング」と考えれば良いと思います。スクーリングはお金がかかりますが、面接授業ですしテストも授業の中でやりますので結構単位を取得しやすいです。科目終了試験は1回4科目で、最短でも1か月間隔になります。スクーリングと科目終了試験を上手に組み合わせることが、短期間で単位をそろえる秘訣といえそうです。
RTの場合
科目終了試験を受けるために、前々月の15日までにレポートを受理してもらう必要があります。4月の試験を受けるためには、2月15日までにレポートを提出しておく必要があるのです。もう間に合わないという方は5月です。ただ、5月の試験でも〆切は3月15日です。郵送する時間も考えると2日くらい前になりますかね。
でも、ここだけの話、「受理」というのがポイントでレポートの合否は関係ありません。不可でもいいから出せとまでは言い過ぎですが、最初のレポートはあまり悩まずにまずは提出してみてはいかがでしょうか。試験が受けられないと先へ進めません。
SR・Sの場合
スクーリング授業(面接授業)を受け、授業中にあるテストを受けることでクリアできます。あとは、先でも後でも良いので課題報告集に基づきレポートを作成します。科目終了試験のために先に出さなければいけないレポートがあるので、スクーリングで受講できる分は後出しで考えておくとレポートの分散が可能になりますね。これも、1単位2000字が目安。
教育実習等の条件を満たすためにはこれらを上手に組み合わせて学習を進める必要があるのです。
⑥ 教員採用試験の日程と対策の検討
以上のポイントを整理した人は、「言われなくても!」と感じているかもしれません。そうです。通信制大学は、大学の事情に左右されないため、やる気と時間さえあればどんどん学習を進めることができます。毎週のように大学に通って講義を受ける必要もありません。夜中に集中して勉強することも可能です。2か月ほどですべてのレポートを出し切ってしまうことも不可能ではありません。すべてはやりたいようにできるのです。
ただ逆に、遅れようが脱落しようが誰も助けてはくれません。間に合わなければもう1年、2年と学費を払い、在籍期間が延びていくだけの話です。それが計画的で、ゆっくりやりたいということであれば問題ありませんが、「気づいたら間に合わなかった…。」では残念ですよね。私の場合は、1年で2種免許を取得するために最初の学習計画は相当詰め込みました。実習を2年目にするのであれば単位取得のペースも少しは楽になりますが、在籍期間が延びればお金もかかってきます。介護等体験未実施の場合はそうも言ってられません。なお、介護等体験を実施する場合、1年間で小学校教諭2種免許の取得はできません
最終目標は先生になって活躍すること
そして、忘れてはいけないのはそもそもの目的です。明星大学通信教育を始めた理由は、単位をとることでも免許をとることでもなく、学校の先生になるということではないでしょうか。教員採用試験は目標達成のために避けては通ることのできない最大の山場です。「学習が落ち着いてきてから。」とか「慣れてから」とか、「今度の試験が終わってから」とか言っていては、絶対にチャンスを逃します。大学の学習と教員採用試験対策を並行して進められるような力は、教職についても複数の仕事を同時に進められる力につながり、必ず役立ちます。
私の『明星大学 通信教育』体験記
STEP3 明星大学通信教育非公式ガイド 「学ぶ」
・ 実習を見据えた学習計画で無理なく単位取得
・ 合格するレポートの書き方の基礎・基本
・ 科目終了試験に合格する勉強方法
・ 教育実習の準備・実習・事後指導
・ 最短での免許取得を可能にするスクーリング履修計画
・ 好条件で通えるおすすめホテルのとり方
・ 「旅費を節約する」旅行計画のノウハウ
これから通信制大学に入学するあなたへ
通信教育初体験の方が多いと思うのですが、実際にやってみて感じたよいと思うことと難しいと思うことは次の通りです。
・仕事をしながらできる。
・基本的なことから勉強できてよい。
・インターネット時代、意外と仲間はいる
・仕事と学業を両立することでデキる先生になれる。
・しっかり勉強しないと単位は取れない
・近くに励まし合える友人が少ない
・計画をしっかり立てて時間を作ることが必要
・スクーリングの時期が教員採用試験と重なる
当然といえば当然のことですが、通学制で手取り足取り面倒を見てくれるわけではありませんので、自分で頑張らなければいけないことは多くなります。でも、ここを見ているあなたは、このサイトを見て調べようという気持ちがある方ですので、きっと大丈夫ですよ。応援しています。
免許申請・教員採用試験対策
そして、各地域の行う『教員採用試験』に合格すると次年度から「先生の候補」になることができます。次年度の4月1日の辞令により、先生の仮採用となり、さらに次の年度で本採用となります。
通信制大学は、サポートはしてくれますが、自分で調べて行動することが基本です。もし、卒業と同時に教員免許取得を目指す場合は不備なく自分で免許の申請をしなければいけません。せっかく必要な単位がそろったのに、うっかり免許申請を忘れた、という事がないようにしましょう。また、免許申請も1週間そこそこでできる話ではありません。行政って時間がかかるのは仕方がないことなんです。
STEP4 採用試験受験&免許申請「採用」
・ 教員免許が勤務開始に間に合わない?「免許申請」
・ 教員採用試験・小論文対策はいつからどうすすめる?
・ 教員採用試験対策におすすめな雑誌を比較
何はともあれ教員免許が取得できれば、教員への第一歩となります。あとは、各自治体で行われている教員採用試験に合格しなければいけません。働きながら勉強し、教師を目指す人も多くなっています。違う道に進んでいても、今は働きながら教員免許の取得を目指す事もできますので、もう一度がんばってみてはいかがでしょうか?
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大学生になって初めてのレポート!書き方がわからない。そもそもレポートって何?通信教育に限らず、悩まれてる方は多いようです。効率よく合格レポートを仕上げるためのポイントをまとめました。